2社を経営する場合、資本金3,000万円は各社に必要?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO) / 公開 / 最終更新
答え
更新にあたっては「ビザの根拠となっている主たる会社」において要件を満たしていれば足りるのが原則で、2社目まで同じ規模を求めるものではありません。ただし実務上は、売上・経費・資本金を1社に集約する「事業の統合」を検討するのが、最もリスクが低く合理的です。
どのようなご相談ですか?
2社を経営し、どちらも資本金3,000万円未満という方が、次回の更新でどう対応すべきかをご相談されたケースです。
- 在留資格:経営・管理
- 申請種別:在留期間更新許可申請
- 状況:ニュージーランド国籍。日本で2つの会社を経営し、いずれも代表社員を務めている。
- 1社目:不動産管理会社。売上の約80%を占めるメイン事業。「経営・管理」の在留資格は、もともとこの事業実績に基づいて許可されている。
- 2社目:不動産売買+旅行業。サブ事業。
- どちらも現時点での資本金は3,000万円未満。
- ご質問:2025年10月の制度改正で資本金要件が3,000万円に引き上げられたと認識している。いずれか1社で満たせばよいのか、2社とも必要なのか、1社に統合すべきか。
2社とも3,000万円にする必要がありますか?
その必要はありません。メインで活動している会社で規模要件を満たしていれば、法的には更新可能です。
まず、資本金3,000万円について正しく整理します。
要件の厳格化
2025年10月の改正では、資本金500万円以上の基準が、投資促進の観点から「3,000万円」へと引き上げられました。あわせて、常勤職員を1人以上雇用することも要件とされています。資本金・出資の総額3,000万円以上と常勤職員1人以上は、どちらかを選べる関係ではなく、いずれも満たす必要があります。「常勤職員を1人雇えば資本金は3,000万円でなくてよい」ということにはなりませんので、ご注意ください。
複数社を経営している場合
「経営・管理」は、一人の方に対して一つの在留資格が与えられるものです。そのため、「メインで活動している会社」において規模要件を満たしていれば、法的には更新可能です。2社目(サブ事業)まで同様の規模を求めるものではありません。
2社とも3,000万円にする必要はありません。在留資格の維持のために、実態以上の過剰な投資を各社に行うのは経営上非効率です。
1社だけ増資する場合、どんなリスクがありますか?
理屈のうえでは更新可能ですが、もう1社の活動実態との整合性を問われる可能性があります。
メインである不動産管理会社の資本金を3,000万円に増資すれば、理屈のうえでは更新可能です。
ただし、「もう1社の活動は何なのか」「そちらの業務に時間を割きすぎて、メイン事業の経営がおろそかになっていないか」と、活動実態の整合性を問われる可能性があります。
1社に統合するとどんなメリットがありますか?
審査が明快になり、法人の維持コストも下がるため、実務上は統合を最もお勧めします。
- 審査の明快さ:1社にまとめることで、売上、経費、資本金のすべてがその会社に集約されます。審査官にとっても「この会社で3,000万円の規模があり、安定して収益が出ている」ことが一目で分かり、審査が非常にスムーズになります。
- コスト削減:決算公告や税務申告、法人の維持費用(均等割など)が1社分で済み、経営効率が上がります。
- 事業の関連性:「不動産管理」と「不動産売買・旅行業」は、シナジー(相乗効果)がある事業です。1つの法人の中で複数の事業目的を持って活動することに、在留資格上の問題はありません。
売上の80%が不動産管理から来ているのであれば、不動産管理会社を存続会社として売買・旅行業を吸収合併、または事業譲渡という形で統合し、そのタイミングで資本金を3,000万円まで引き上げるのが、次回の更新で「3年」や「5年」の長期の在留期間を狙うための最短ルートです。
更新にあたって注意すべき点はありますか?
増資のタイミングと事業報告書の作り込みが、更新許可の鍵を握ります。
- 増資のタイミング:更新期限の直前に増資を行うと「ビザのための見せ金」と疑われることがあります。決算期や更新の数か月前には手続きを完了させておきましょう。
- 事業報告書の作成:2社を経営し続ける場合も、統合する場合も、「どのように役割分担をし、ご自身がどのように経営に関与しているか」を詳細に記した事業報告書が、更新許可の鍵を握ります。
- 合同会社の場合:増資(出資)の手続きが株式会社よりも比較的柔軟ですが、登記の書き換えは必要です。
2025年10月施行の新基準に関する運用は、地域や地方出入国在留管理局の個別判断により異なる場合があります。必ず最新の審査指針をご確認ください。
既に在留している場合、経過措置はありますか?
施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの更新申請には、経過措置が設けられています。
既に「経営・管理」で在留中の方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合については、改正後の許可基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の許可基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断を行います。なお、審査においては、経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出いただくことがあります。
施行日から3年を経過した後になされた在留期間更新許可申請については、改正後の許可基準に適合する必要があります。
よくあるご質問
2社を経営していますが、両方の資本金を3,000万円にする必要がありますか。
その必要はありません。「経営・管理」は一人の方に対して一つの在留資格が与えられるものですので、メインで活動している会社で規模要件を満たしていれば、法的には更新可能です。
メイン会社だけ増資した場合、何を聞かれますか。
「もう1社の活動は何なのか」「そちらの業務に時間を割きすぎてメイン事業の経営がおろそかになっていないか」といった、活動実態の整合性を問われる可能性があります。
増資はいつまでに済ませておくべきですか。
更新期限の直前に行うと「ビザのための見せ金」と疑われることがあります。決算期や更新の数か月前には手続きを完了させておきましょう。
1つの法人で複数の事業を行っても問題ありませんか。
問題ありません。1つの法人の中で複数の事業目的を持って活動することに、在留資格上の問題はありません。関連性のある事業であれば、統合により審査もスムーズになります。
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