フィギュアスケート振付師の在留資格は芸術ですか?
一般社団法人 外国人雇用支援機構(FESO) / 公開 / 最終更新
答え
フィギュアスケートの振付業務は「芸術」または「興行」のいずれかに該当し、原則として「技能(スポーツの指導)」には当たりません。どちらになるかはご本人の能力ではなく、日本で行う振付が非公開の場での作品創作か、アイスショー等の商業公演に連動した演出かという契約内容によって判断されます。
どのようなご相談ですか?
海外在住のフィギュアスケート振付師の方が、日本へ招へいされる際の在留資格の該当性を尋ねています。
- 相談種別:ビザ(招聘手続きに関する該当性判断)
- 申請種別:在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)
- 状況:イタリア国籍のご相談者様。フィギュアスケートの振付師として活動し、著名なフィギュアスケート選手へ振付を提供した経歴など、芸術家としての著しい実績と経歴がある。今後、日本の関係者(スケーターやスケートクラブ等)から新プログラムの振付を依頼される予定があり、その関係者からの推薦状の取得が見込める。過去に一緒に仕事をした業界関係者からの推薦状も準備可能。
- 質問:フィギュアスケートの振付業務は入管法上「芸術」と「興行」のいずれに該当するか。オリジナルの作品を創作する活動であり、コーチとして技術指導を行うわけではないため「技能」には該当しないと考えているが、実務上「興行」や「技能」に該当するケースはあるか。
「芸術」に該当するのはどのような場合ですか?
一般の観客に公開しない環境で、純粋に新しいプログラムを作り上げる活動を行う場合です。
入管法上、「芸術」は「収入を伴う美術、文芸、音楽、写真、演劇、舞踊、映画その他の芸術上の活動」と定義されています。フィギュアスケートのプログラム制作は「舞踊(ダンス)の創作」と同等とみなされ、芸術活動に該当します。
該当する具体的なシチュエーション
日本の選手やクラブから個人的に依頼を受け、アイスリンク等で一般の観客に公開しない環境(練習・合宿など)において、純粋に新しいプログラム(作品)を作り上げる活動を行う場合です。
審査のポイント
- 「芸術上の活動による十分な収入(日本での生活維持)」が成り立つ契約であること。
- 過去の作品実績や業界トップクラスからの推薦状によって、「芸術家としての顕著な業績」が書面で立証できること。
「興行」に該当するのはどのような場合ですか?
アイスショーなどの商業公演の演出や、現場での振付・舞台監督業務が滞在の主たる目的である場合です。
「興行」は、演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興行(見世物として観客に見せる活動)や、その他の芸能活動が対象です。
該当する具体的なシチュエーション
日本に滞在する主たる目的が、単なる事前の振付創作にとどまらず、「日本で開催されるアイスショー(商業公演)」の演出や、ショーの現場での出演者への振付・舞台監督業務である場合です。
審査のポイント
観客から入場料を徴収して開催されるアイスショーそのものの演出等に関わる場合、演劇・舞踊等の「興行」(または公演を支えるスタッフとしての芸能活動)に該当します。この場合、招へい機関(プロモーターやイベント主催会社)の適格性や、公演会場のスペック等も審査対象になります。
なぜ「技能」には該当しないのですか?
業務の本質が肉体的・技術的なコーチングではなく、表現活動としての創作だからです。
「技能」のうちスポーツの指導者の区分は、上陸許可基準省令の「技能」の項の第8号として現に規定されている区分で、「スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの」とされています。廃止された区分ではありませんので、根拠条文をたどる際はこの第8号をご覧ください。
業務の本質が「ジャンプやスピンの成功率を上げるための肉体的・技術的コーチング」であれば技能に当たります。しかし今回のご相談者様が行うのは「音楽に合わせたエッジワーク、身体表現、物語性の付与(振付)」という表現活動です。実務上、創作を主目的とする振付師は、スポーツ指導者ではなく、振付家・ダンサー(芸術または興行)として取り扱うのが適切とされています。
認定証明書の交付申請には何を用意しますか?
実績を示す資料、推薦状、契約と報酬を示す資料の3種類を軸に組み立てます。
日本へ適法に呼び寄せるためには、日本側の受入関係者が代理人となり、在留資格認定証明書(COE)の交付を申請します。以下は、最も可能性が高い「芸術」を想定した実務書類のポイントです。
芸術家としての実績を証明する資料
- 過去に振付を担当した著名選手の名簿、およびそのプログラムが使用された大会の実績(プロトコルや大会リザルトの写し)。
- メディア(雑誌、WEB記事、テレビ等)で振付が取り上げられた際の論評や記事のコピー。
業界関係者からの推薦状
- 過去の関係者から:振付が国際的に高い芸術性を有している旨を記した、著名な指導者やスケート連盟関係者等からの推薦書。
- 今後の関係者から:当方の選手の表現力向上のためにその芸術的感性による振付が不可欠である旨を記載した、招聘理由を兼ねた推薦書。
活動内容と契約・報酬を証明する資料
- 振付委託契約書、または招聘契約書(1プログラムあたり、あるいは滞在期間あたりに支払われる報酬額が明記されているもの)。日本人アーティストと同等以上の適正な報酬水準である必要があります。
- 日本滞在中のスケジュール表(どのリンクで、誰に対して、いつからいつまで創作活動を行うかの工程表)。
在留資格の選択ミス(例:実態は振付なのに安易にコーチとして技能で申請するなど)は、要件不一致による不許可を招く最大の原因となります。契約書上の「業務の定義」と「活動場所」を審査基準に適合させることが申請成功の鍵です。
よくあるご質問
「芸術」と「興行」はどちらになるか、何で決まりますか?
ご本人の能力ではなく、日本で行う振付活動がどのような場所で、どのような目的で行われるかという客観的な契約内容によって判断されます。非公開の場での作品創造であれば「芸術」、アイスショー等の興行イベントに密接に連動した演出・振付活動であれば「興行」です。
フィギュアスケートの振付師は「技能」では申請できないのですか?
スポーツの指導に係る技能は上陸許可基準省令の「技能」の項の第8号として現に規定されており、業務の本質が肉体的・技術的なコーチングであれば「技能」に当たります。ただし、音楽に合わせた身体表現や物語性の付与といった創作を主目的とする振付師は、実務上スポーツ指導者ではなく振付家・ダンサーとして取り扱うのが適切とされています。
「芸術」の審査では報酬について何が見られますか?
芸術上の活動による収入で日本での生活を維持できる契約であることが求められます。契約書には1プログラムあたり、あるいは滞在期間あたりの報酬額を明記し、日本人アーティストと同等以上の適正な水準である必要があります。
「興行」の場合、招へいする側も審査されますか?
はい。入場料を徴収して開催されるアイスショーの演出等に関わる場合は、招へい機関(プロモーターやイベント主催会社)の適格性や、公演会場のスペック等も審査対象になります。
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